moonlinx

next creation and communication moonlinx magazine

HOME

  • HEADLINE
  • SELECTED EVENTS
  • SPECIAL ISSUE
  • INTERVIEW
  • VISUAL FEATURE
  • REVIEW & RECORD

HEADLINE

  • ←
  • ↑
  • →

メディア・アート界の奇才、真鍋大度インタビュー

Art
07/06, 2009

KEYWORD :
DGN
アンカーズラボ
インタラクティブ・デザイン
メディア・アート
ライゾマティクス
真鍋大度



真鍋大度氏。

メディア・アートやインタラクティブ・デザインという言葉を聞いて、正直よく分からないので敬遠してしまう、という人は多いかもしれない。しかし、専門的な話を後回しにして、純粋にその作品の面白さに目を向ければ、意外にすんなりと入っていくことが出来るのではないだろうか。moonlinxは、誰もが興味をそそられるような実験的なプロジェクト行い、国内外から注目を浴びる真鍋大度(まなべ・だいと)氏にそのユニークな作品についてお話を伺った。


―まず、真鍋さんをどのように皆さんにご紹介したら良いでしょうか?

真鍋 アーティスト、デザイナー、プログラマー、DJ、VJ…。ひとつ言えるのは、プログラミングを使って何かをやっているということです。


真鍋氏本人が出演する作品「LED in my mouth」。海外のユーザーからは、「マッド・サイエンティスト」というコメントも。


—真鍋さんと言えば、やはり世界中から大反響があった「Electric Stimulus to Face」が今は代表作になってしまったと思いますが、あちらの作品について教えて頂けますか?

真鍋 以前、筋肉が収縮する直前に発生する微弱電流を計測するための筋電センサーという装置を使って、ダンサーの微細な動きを映像や音、振動に変化させるというダンス作品をDumbtypeの川口隆夫さん、デバイスエンジニアの照岡正樹さんと制作しました。ある時、この筋電センサーを顔に付けたら表情を検知できると思ったので、逆に顔に電気を送る仕組みを作ったら、自分の表情を相手にコピーすることが可能なんじゃないかと考えついたんです。そこで、照岡さんにその話をしたところ、たとえ外部から完全に電気で制御しても感情が伴わないと本当の笑顔を作る事はできないと言われたので、試しに作ってみたのがあの装置でした。僕のホームページにも記述していますが、制作には数多くのスタッフに関わってもらいました。


サウンドに合わせて顔の筋肉を操作する「Electric Stimulus to Face」。装置自体はIAMAS時代から知っていたそう。デバイスの設計は照岡正樹氏、実際の制作は原田克彦氏、サウンドの仕上げは澤井妙治氏が担当。


—昨年の10月にその装置の動画を公開されて、すぐに再生回数が100万回を超えたそうですね。ご自分でも驚きませんでしたか?

真鍋 これで日本の変人代表みたいになってしまったな、と…(笑)。あの動画は元々、テスト映像だったんですよ。それをオタク系の人達がこぞってブログで取り上げてくれて、さらにアメリカのYouTubeが選ぶオススメNo.1動画になってしまったんです。その後は、ひと月で数千件のメールが届くようになりました。ライブの出演依頼もすごく増えて、以前は色々なことで依頼されていたのが、最近はこの件でしか呼ばれなくなっちゃって…。しかも、ライブの本番中はただ座って、ひたすら耐え忍ぶシーンが殆どなんです(笑)。

—このようなユニークな作品で注目される一方で、今年の1月には、オーストリアのリンツにあるアルス・エレクトロニカ・センターで、海外のクリエイターと一緒に「Lights On」という大変美しいパフォーマンスを行われましたね。建築物に映る光と音がシンクロする、素晴らしい作品でしたが。

真鍋 あの作品は「openFrameworks」という、デザイナーやアーティストのための開発環境を作っているザッカリー・リバーマン(Zachary Lieberman)が、去年、NYで行った「true」というダンス公演で制作した僕の楽曲を気に入ってくれた事がきっかけで参加しました。

今年1月、オーストリアのリンツで行われたパフォーマンス。舞台となった建物の窓には、制御可能な1085個のLEDが付いている。制作は、ザッカリー・リーバマン、元UVAのジョエル・ゲシン・ルイス、ダミアン・スチュワート。音楽は真鍋さんが担当した。


—では、この作品では完全にミュージシャンとして参加されたんですね。

真鍋 そうですね。ビジュアルのプログラミングは他の3人が担当しました。実際には音とプログラミングの作業が半々ぐらいだったでしょうか。一緒に制作した3人のうち2人とは初対面だったのですが、彼らとは共通言語が多かったので、目指すものを共有するのにあまり時間は必要としませんでした。プログラミングの素晴らしい所は、コラボレーションの柔軟性にあると思います。「こういう音を作ったんだけど、この値がそっちに行くから、何かに使えないかな?」とか「光っている箇所の面積を映像マシンからこちらに送ってもらえたら、試しにその値を使って僕の方で音を生成してみるよ」という感じで試行錯誤しながらの作業が中心でした。

—音はどのように流していたんでしょうか?

真鍋 街中に巨大スピーカーを設置しました。そのため、どの場所から見ても音の遅延は全くなく、光と音が完全にシンクロしていたと思います。年末のイベントのトリのパフォーマンスだったので、楽曲は出来るだけ多くの方が楽しめるようにしました。新年を祝った後、深夜にこっそり自分達のためだけに建物を光らせて乾杯したのが最高の思い出ですね。



スタジオで作品を説明する真鍋さん。背後には何百枚ものレコードが。

—ところで、今月、制作において良きパートナーである石橋素さんと一緒に展示を開催されますが、そちらはどのような内容になる予定ですか?

真鍋 独自の「刺繍パターン制作環境」を開発して刺繍ミシンを制御し、来場者にオリジナルTシャツを作って持ち帰ってもらう様な事を考えています。ミシンが持つ基本的な処理である「糸と針による繰り返し作業」は、プログラミングのループ処理そのものなので、僕は初めて工業用ミシンの動きを見た時に、「超高速で淡々と繰り返し処理をして、ある条件を満たすと違う処理に移行する」という姿の虜になったのです。ですから、そこからオリジナルのプログラミング言語を作るのは割と直感的な作業でした。言語の仕様は極めてプリミティブなので、誰でも楽しめる様な環境が作れたと思います。Twitterからポストする事でパターンを作れる様にもしたので、会場に行く前に是非遊んでみて下さい!(http://www.rzm-dev.com/pattern/

—すごく面白そうな作品ですね。では最後に、真鍋さんの野望を教えて下さい。

真鍋 過去にプレゼンしてボツになった企画で良いものが幾つかあるので、それをきちんと実現したいですね。アートプロジェクトではなく、サービスやソリューションの為のデザインプロジェクトとして大規模なプロジェクトを行う事にも魅力を感じています。

—制作を支援してくれる企業を募集している、ということでしょうか?

真鍋 支援というよりは、理解、共感してくれる方が増えると良いですね。先日、僕がコーディネートをした「Flying Tokyo」というイベントで、ドイツのデザイン・エージェンシー、ART+COMのユッスィ・アンゲスリヴァをゲストに呼んだのですが、それは彼らの代表作であるBMWの作品などの紹介を通して、アートと商業の両面で成功している例が世界には沢山あることを多くの人に知ってもらうためでした。僕らの様な末端にいる人間が「Lights on」やBMWのようなプロジェクトの企画を作って進めていくには現状ではまだ課題が多いので、まずは上位工程にいる方々に想像力を膨らませて頂いて、チームを作って一緒に実現するというのが現実的な方法だと思うのです。


真鍋さんが言及した、ART+COMによる作品。ミュンヘンのBMWミュージアムに永久コレクションされている。天井から無数の球体がゆっくりと落ち、徐々にBMWの車体のアウトラインを描き出す。一企業のために制作されたこの美しいアート作品はYouTubeなどでも話題となった。


真鍋 ユッスィはトークの中で、当初BMWはアートを商業に持ち込むことに対して懐疑的だったけれど、結果的に作品がネット上で話題になり、商業的な面でも成功した、という話をしていました。僕自身もART+COMを訪れた時に、アートやインタラクティブなものに対してクライアントが理解し、期待を持って行われている大規模なプロジェクトを沢山目にしたので、同じことを日本でも出来たらいいなと思いますね。

—現状、日本でこのような作品を理解してくれる企業は、海外に比べてかなり少ないと言えますね。

真鍋 そうですね。後は良い企画が色々と出て来ると、状況も変わるのではないでしょうか。良い企画を作るためには、装置やプログラミングによる表現を最大限引き出す事を初期の段階から考えなくてはならないと思います。アイディアが面白くて、話題性があっても、ただそれだけ終わってしまってしまうと、プログラミングを駆使している事の面白さが薄れてしまいますから。ドキュメント映像さえきちんと作れば評価される事は可能かもしれないですが、それでは本質とかけ離れてしまいます。広告としても成功して、メディアアート界でも話題になり、さらにはギーク系のブログでも取り上げられるような作品やプロジェクトに関われたらいいですね。

真鍋大度/Daito Manabe

1976年生まれ。東京理科大学理学部数学科卒業後、システムエンジニア、プログラマーを経て、国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)DSPコース卒業。振動、超低周波を使用して触覚と聴覚の特殊性、共通性、相互作用を狙った作品制作を行なう一方で、実験的なターンテーブリストとしても活動し、国内外の様々なアートプロジェクトにも参加している。ウェブからインタラクティブ・デザインまで幅広いメディアをカバーするプロダクション「ライゾマティクス(rhizomatiks)」の取締役で、コミュニケーション・メディアを駆使し、インタラクティブな演出を企画・制作する「DGN」、アーティストやデザイナーが集まり創発の場となっている「アンカーズラボ(4nchor5 la6)」のメンバーでもある。

真鍋大度 http://www.daito.ws
真鍋大度 on YouTube http://www.youtube.com/user/daito
ライゾマティクス http://rhizomatiks.com
DGN http://www.dgn.jp
アンカーズラボ http://456.im


真鍋大度 + 石橋素「Pa++ern」

会期:
2009年7月11日(土)〜8月11日(火)11:00〜20:00 (会期中無休)

会場:
B GALLERY

住所:
東京都新宿区新宿3-32-6 BEAMS JAPAN 6F

入場料:
無料

ウェブサイト:
http://www.beams.co.jp/b-gallery


SPECIAL ISSUE

季刊を基本とした moonlinx の特集

もっと見る

+ART

文化の背景と未来を読み取るロングインタビュー

もっと見る

NotSame.

クリエイターによる紹介制リレーインタビュー

もっと見る

VISUAL FEATURE

文化や社会をきりとるビジュアル記事

もっと見る

REVIEW & RECORD

クリエイター達による商品レコメンド

もっと見る

EDITOR'S NOTE

編集スタッフがつづる、編集/制作裏話、日常

もっと見る