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雑誌・デザイン・教育 藤崎圭一郎Interview

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11/11, 2008

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「デザインの現場」編集長を経てAXISやCasaBRUTUSなど多くの雑誌にデザインや建築の記事を寄稿する一方、次世代を担う学生を育てるため数々の美大やデザイン学校で教鞭をふるう藤崎圭一郎氏。その藤崎氏が受け持つ法政大学大学院システムデザイン研究科「美学意匠論」の講義から始まり、東京藝術大学大学院松下計研究室研究生とのコラボレーションで生まれたフリーペーパーが「DAGODA」だ。デザイン、エディトリアル、教育を舞台に活躍する藤崎氏にDAGODAの誕生背景と雑誌・デザインの未来を伺った。

—はじめに、藤崎さんの職業である「デザインジャーナリスト」についてお話を伺いたいと思います。

藤崎 簡単に言えば雑誌ライターです。評論家のように頭の中で色々な考え方をこねくり回してデザインの今を斬るのではなく、とにかく取材をもとに原稿を書きます。雑誌業界もクリティークの時代ではなくなってきているので、「取材中心、現場中心、色んな人を取材して記事を書くんだ」と。

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僕自身は1992年まで2年半ほど『デザインの現場』の編集長を務めていました。93年にフリーになってからデザインジャーナリストと名乗っています。いろんな雑誌とお付き合いすることで編集長の時と比べていろんな視点からデザインを見られるようになったと思います。ただ、肩書きが変わっただけで基本的なスタンスは変わっていませんね。

—デザインジャーナリストとして、最近の雑誌やデザインのあり方についてどう感じますか?

藤崎 特にここ10年くらいは、雑誌がカタログ化してきているように感じています。デザインや建築を取り上げる雑誌は増えましたが、すべてをブランド化しようという流れになっています。もちろん、それはそれで一つのビジネスモデルですし、成功する雑誌が出てくるのは間口が広がり、様々な人にデザインに関心を持ってもらうという意味でとても良いことだとは思います。
ただ一方で、実験的な雑誌がなかなか出てこられないんですね。ブランド価値を高め購買欲を刺激するだけじゃなく、雑誌にはもっと力があると思うんです。3号しか続かないけど名前が残る雑誌って昔は結構あって、そういう雑誌のあり方があってもいいんじゃないかと思います。バーンと出てきて人の記憶に刻むような、そんな時代の勢いがなくなってきてしまいましたね。

—なるほど。そのような経緯で「DAGODA」が始まったのですね。

藤崎 いえ、実はそうではなかったんです。最初は単純に、法政の大学院で僕が受け持っていた講義の内容をどうするかというところから始まりました。システムデザイン学科卒の学生が大学院に進学してきたこともあり、大学の時よりももっと難しいことを教えることも考えたんですけどね(笑)
でも、デザインの学者や研究者を育てるわけでもないし、大学時代にも十分、専門的なことを教えていたので、無茶はやめて自分ができることを学生と一緒にやっていこうと。僕は、雑誌の編集をしながらデザインの要点を学んできた身なので、彼らにも雑誌を作りながら「今、デザインに何ができるのか。そして、何ができないのか。」といった問題意識を持ってもらおうと考え、「DAGODA」を作ることを決めたんです。

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しかし、そうは言っても雑誌を作ることに関しては、全く経験のない学生です。最初は彼らに課題として作らせて、良いものだけをセレクトしてカラーコピーしちゃえばいいか、くらいのノリでした(笑)。
でも、それだと大学のレポートと大して変わらなくなってしまう。そこで、「不特定多数の人に自分達の作ったものが見られること」を意識してもらおうと、学生自身のクレジットを入れて本格的に雑誌を作成することにしました。
そうなると、雑誌としての完成度を高めることが必要です。東京藝術大学でも教えているアートディレクターの松下計さんにデザインをお願いしました。松下さんも「それなら、うちの大学院生にやらせてみたい」ということで、新しいメンバーが加入し、彼らにも自由にやってもらうことにしました。結果、前半には11ページには、文章のないビジュアルページを設けたりと、はじめに考えていたものとは、全然違う内容とクオリティのものができたと思います。

—実際に印刷から上がってきた出来ばえはどうですか?

藤崎 よくここまでできたな、というのが正直な感想です。学生が作っているフリーペーパーって世の中に沢山ありますが、編集に関心がある人が作っているか、デザインに関心がある人が作っているかのどちらかで、両立しているものはあまりないんですね。もし、新しいことをするのであれば、編集とデザインの両方がちゃんとしていなくてはいけないんです。

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今回は僕が編集のプロで、松下さんがアートディレクションをしてくれたので、かなりのものを作ることができたと思います。実際、プロの目から見たらリードの入り方だとか文章とビジュアルのバランスだとか次のページへの繋がり方だとか「これは無いな」っていうのはまだかなりあって、本当はもっといろいろ教えたかったんですけれど、完璧にできちゃうと良い意味での学生らしさがなくなっちゃうんでね。

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—表紙にも書かれていますが、21世紀になって、人口爆発や環境問題、世界的な経済の問題など、グローバルな問題が山積みになっていて、デザイナーはただきれいなモノ、かっこいいモノを作ればいいという時代ではなくなってきていています。難しい問題を前に、デザイナーはどう立ち向かっていけばよいのでしょうか?

藤崎 今世紀、少なくとも2020年くらいまでにはどうにかしなくちゃいけない問題はたくさんあります。大量生産、大量消費の時代も終わりつつあります。モノの時代は終わろうとしている。だからこそ逆にデザインの知恵みたいなものが重要になってくると思います。編集や組み合わせることもまたデザインで、もしかすると何もないところから何かを生み出すことよりもそっちの方が強いのかもしれませんね。DAGODAのテーマにも掲げましたが、2020年までになにか変えていかないと「20世紀のままじゃん」ってなりかねない。
みんな自分の都合のいいことしか見なくなっているから、「ちゃんとみんな周りを見よう、遠くを見よう、未来を見ようよ」と言い続けないといけなくなってきています。大きなメディアは保守的な傾向になっていますが、僕はそれが悪いとは思いません。ビジネスとして考えると仕方ないことです。しかし、小さなメディアは、世の中に対してメッセージを投げかけ続けなくてはいけないのだと思います。

—表紙に「最初のDAGODAは雑誌です」とありましたが、今後DAGODAをどのように展開していこうと考えていますか?

藤崎 いちおうdagoda.jpも取ったんですよ(笑)。今回はとてもそんな余裕はなかったのでやめましたが、Web展開みたいなことや「DAGODA TALK」みたいにイベントなどもやっていきたいとは考えています。DAGODAという名前も、法政と藝大の学生のコラボレーションでつくる雑誌だけではないと考えているので、僕が教えている他の学校でDAGODAをやっていってもいいし、学生が勝手にDAGODA2.0みたいなことを作ってくれても面白いと思いますし。触発していく、波紋を広げていく、勢いを生み出すというのをやっていきたいと思いますね。

藤崎圭一郎 Keiichiro Fujisaki
デザインジャーナリスト。エディター。1963年生まれ。1990〜92年「デザインの現場」編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。現在進行中の連載記事は「AXIS」掲載「未来技術報告」。「デザインの現場」掲載「コトバのミカタ」

ココカラハジマル
http://cabanon.exblog.jp/

藤崎圭一郎 著書:
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