女性の体をモチーフにしたアクリルの眼鏡や紙の眼鏡を発表するウノサワケイスケ。そのシリーズ「EROTIKA」は、CIBONEをはじめ、多くのショップで売り切れるほどの人気だ。彼がユニークなのはそういった一見アヴァンギャルドな作品をリリースしつつも、ヴァージンアトランティック航空のVIやニューヨーク近代美術館(MoMA)のミュージアムグッズを手がけるなど、デザイナーとしての現実的な実績も数多く持っていること。今回はその彼に「EROTIKA」と彼のデザインに対する姿勢についてインタビューをおこなった。
—まず、「EROTIKA」というタイトルについて教えてください。
ウノサワ 僕のスタッフがネーミングしたんです(笑)。「アート的なエロティックさ」があるところから、これにしようと。また、あえて英語よりもドイツ語的な響きを持たせてこのような名前になりました。コミュニケーションを目的とし、とにかくセクシーで理屈抜きで楽しくて、そのコンセプトにピッタリですね。元のスペルは「EROTICA」ですが、Cを私の名前の頭文字のKに変えて「EROTIKA」としました。
—たしかに、女性の体のラインがとても綺麗なのでいわゆる「いやらしさ」とはまた違いますよね。この作品を作ろうと思ったきっかけは何でしょうか?
ウノサワ 小学校の頃から写真集や切り抜きなどヌード写真のスクラップをずっとしていたんです。デザインをやるようになってから、蓄積したこれらの写真を見て、立体にできないかな、と思うようになりました。やっぱり女性が好きだし(笑)、みんな綺麗ですよね!この自分の世界観を形にしたい、みんなに知ってもらいたい、という想いがあったんです。

女性の体のラインが美しい「EROTIKA」のアクリルの眼鏡
ー作品の女性にはモデルがいらっしゃるんですよね?
ウノサワ います。自分でモデルの人を探しています。
—プロのモデルさんではないところが面白いですよね。
ウノサワ 私自身が探し、話をしながら作っていくという過程も含めて作品だと思っているので、この部分は作品制作の中でとても大切にしているプロセスです。内容はもちろん全て秘密で(笑)。
—ギターやバイオリンなど、これまでも世の中には女性の体を模した造形物がありましたよね。そこには色々な意味だったり魅力があったからだと思うのですが、ウノサワさんにとって女性の体の魅力とは何でしょうか?
ウノサワ スタイル、プロポーションというより、その人のパーソナリティやファッション、ことば、生き方などのセンスに魅力を感じますね。
—この「EROTIKA」で、今年の9月にはロンドンのインディペンデント系デザインフェスティバルである「TENT LONDON」への出展が決まったそうですね。
ウノサワ ええ。「EROTIKA」に色々なラインナップが増えてきたなかで、海外からスタートさせたいと思ったんです。海外のデザイン、アート関係者にこの作品達を見てもらったら、ヨーロッパ、アメリカなどでは大好評でした。その中で出会ったロンドンの人達とスタートをしたいと思い「TENT LONDON」にアプローチしたところ、主催者の反応がとても良かったんです。彼らはこれがブースに展示された時、「EROTIKA」の世界感がどのように表現されるか、とても高い期待感を持ってくれています(笑)。

ウノサワさんがてがけたバージンアトランティック航空のグラフィックワーク
ーところで、MoMAのミュージアムグッズなども手がけていらっしゃいますが、何もコネクションがないところから、ウノサワさん自身やスタッフの方が直接売り込みされているそうですね。ヴァージンアトランティック航空のVIの仕事は、ウノサワさんの作品が巡り巡ってクライアントから声がかかったと聞きました。
ウノサワ 「EROTIKA」を売り込むときもそうでしたが、私とスタッフは飛び込み好きですね(笑)。
ーものを作った後、そこまでやりきる人って少ないと思うのですが、アクティブなウノサワさんの原動力とは何でしょうか?
ウノサワ MoMAのミュージアムグッズを手がけるようになったのは、英語もできないまま、とにかくMoMAに作品を見て欲しいとコンタクトしたことから始まったんです。人とコミュニケーションしたいというのが原点にあるのは確かですね。むしろ、自分が一緒にやってみたい人達にアプローチせずにはいられないんですよね(笑)。片想いから両想いになりたいですよね?フラれるのを怖がったり、人の評価を気にしたりしなくて良いと思うんです。何回トライしても良くて、大事なのは私本人が楽んでいるかどうかです。

ウノサワさんがてがけたMoMAのミュージアムグッズ
—そもそもデザイナーになろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
ウノサワ 最初、自分の中でデザイナーになるという想いは全くなかったんです。10代の後半に家にこもって一年くらい絵を描いていたことがあり、沢山描けたので使って欲しくて雑誌社に送ってみたんです。すると唯一当時のマリ・クレールの編集長さんが会って下さって「雑誌でイラストを描いていくには、常に最高のクオリティで出し続けないといけないよ。今は世界を広げるためにグラフィックデザイナーという職業を体験するのも良いかもしれない。新聞に募集が掲載されているから、作品を持ってデザイン事務所に行ってみたら」とアドバイスを頂いたんです。それがきっかけで最初のデザイン事務所に入りました。それからはどうしたら素敵な仕事に携われるのか、何をすれば自身のデザインが魅力的になるのかばかりを考えて過ごしていました。探していましたね、何かを。
—なるほど。実際にクライアントとお仕事される段階になったときにはどのようなことを心がけていらっしゃいますか?
ウノサワ 一番大切に思っていることは、まずたくさん話をして理解し合うことです。そして問題を解決すること。それを行わない限りは、望まれているものは表現できないと思っています。
—ありがとうございます。ではウノサワさんの今後の予定を教えてください。
ウノサワ 「EROTIKA」に関しては、アイデアが沢山あるので形にしていきます。女性のモチーフを使用したデザイン以外にも世界間があり既にプロジェクトも進行中です。現在とても良い環境でデザインのお仕事をさせていただいてますので、これからも人とのご縁を大切にしてグラフィック、プロダクトに留まらず広い視野で活動ていきたいと思います。
ウノサワケイスケ/Keisuke Unosawa
1964年東京生まれ。1987年よりフリーランスとして活動開始。1995年よりニューヨーク近代美術館からクリスマスカードセットが発売される。ヴァージンアトランティック航空VI、川崎市シンボルマークデザイン、セレクトショップ表参道RINのアーティスティックディレクター・コンセプター、ヴーヴクリコ・クリスマスキャンペーンにおける空間デザイン・ディレクターなどをはじめ、企業CI計画、ショップ・プロデュースなど数多く手がける。2009年9月24日~27日にロンドンで開催される展覧会「TENT LONDON」にオリジナル作品「EROTIKA」を出展。













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