2009年1月31日に渋谷duoにて行われたライブ映像を収めたDVD+写真集「SCLL LIVE」を8月5日にリリースした三人組のスパングル・コール・リリ・ライン(Spangle call Lilli line、以下SCLL)。Vol.1に続いて、彼らのバンドのスタンスや音楽に対する考え方についてお話を伺った。
—「スパングル・コール・リリ・ライン」という名前の由来を教えていただけますか?
笹原 この名前は語感だけで決めたんですよ。
大坪 私がいくつか単語をみんなに提案して、その中でこれが残ったんです。
—曲のタイトルも語感で付けていらっしゃるのですか?
笹原 100%そうですね。よくある、歌詞の意味からつけるというようなことは全くないんです。それは3人が共通して持っている意識ですね。変に意味があるタイトルを付けると、メンバーの誰かが嫌がりますし、例え付けた人に思い入れがあるとしても、聞いた人はそこまで伝わらないと思うんですよ。ですから、より無機的な雰囲気のネーミングにしています。
—三人ともすごく自然体で気負いがないように感じるのですが、結成当初は気合いが入っていたのですか?
藤枝 最初からライブハウスに出たいという欲もなかったですし、特に目標もありませんでした。おそらく、最初は別に音楽じゃなくてもよかったんじゃないかな。純粋に大学時代の延長で遊べる感じがよかったのかもしれません。

SCLLのアルバム「ISOLATION」
—しかし、確実に作品をリリースし続けて、今年でバンド活動も11年目を迎えますよね。なぜここまで続いたと思われますか?
笹原 常に活動していないからだと思いますね。1年間、メンバーの誰とも会わない時もありますよ。
—ライブも年に一度だそうですね。
笹原 僕らの11年は、普通のバンドで例えると2年か3年分くらいの活動なんですよ。だから、音楽だけで食べていこうとしていたら続けるのは難しかったかもしれないです。
—逆にそんなにメンバーと会わない状態が続くと、持続力を失って自然消滅しがちだと思うのですが。
藤枝 そこは、その時々でメンバーの誰かが高いモチベーションを持っているので、その人がバンドを引っ張っていますよね。僕らはそんなバランスで続いてる部分がありますね。
—では、結成された当初はレーベルに所属することも考えてはいなかったのですか?
藤枝 それも成り行きなんです(苦笑)。僕はデザイナー、笹原君はカメラマンという職業に就いているので、仕事を通して知り合った音楽ディレクターの方も多いんですよ。だから実際は、たまたま彼らにデモ音源を渡してリリースすることになった、というのが真相です。最初は2曲くらいしかなかったので、リリース決定後に残りの曲を作ったような状況だったんですよ。一番最初に僕らを見出してくれた人は、よく出してくれたなと思いますね(笑)。
—SCLLのライブにはかなりの動員数があるそうですが、それはファンとの間に信頼感というか、繋がりができているということだと思います。つまり、今まで目標がなかった中でどんどん人が寄ってくる。そんな状態でプレッシャーはなかったのでしょうか?
藤枝 その重みは勿論ありますが、逆に「そんなに偉いもんじゃないだろ」とも常に思うんです。アーティストって、ステージに立っちゃうと、どうしても勘違いしてきちゃうじゃないですか。僕らの様なスタンスのバンドの場合は、そういう奢りは絶対に持っちゃいけないよねと、ついこの前も話していたんですよ。
笹原 分をわきまえるってことですね。

同じくアルバム「PURPLE」
—皆さんには「腰が低い」印象を受ける方が多いと思いますが、それはどこから来ているのでしょう?
藤枝 多分、三人とも生活の基盤が音楽とは別のところにあって、そこはそこでちゃんとやっているところがあるからだと思います。だから、音楽面でのし上がろうとか、儲けようという気持ちはないということが、そんな姿勢になっているのかもしれません。
—今後リリースしたい形態の作品はありますか?
藤枝 トレンドになっている音楽データ配信は、アーティストがやりたい美学とか空気感みたいなものが抜け落ちていると思うんです。そういうことはもしかしたら一番大切な部分かもしれないですよね。だからこそ、今、僕らはこの抜け落ちている部分も含めて作っていかないといけないと思っています。別にそれは使命感とかではなく、ただやりたいから(笑)。そうは言っても、作っていくにあたって、レコードメーカーも含めて、関わる人全員が悲しい思いだけしかしないんだったら嫌ですけどね。買ってくれる人がいるのであれば、可能な限り面白いことをやりたいなと思います。
—その「面白いこと」を具体的に教えてください。
藤枝 言葉にしづらいのですが、単純に「無駄」や「謎」というか、聴く人にとって「?」が頭に浮かぶようなことをやりたいんですよね。
笹原 今回の写真集付きライブDVDもそうですが、メンバーにカメラマンがいるという事実を知らないで買っている人も多いと思うんですよ。そういう人には「この写真集って何?」という疑問が湧くと思うんです。しかも写っているのがボーカルの人じゃない(笑)。
藤枝 もっと出会い頭の交通事故のようなものが必要だと思っているんです。なぜなら、最近の世の中は親切すぎて、それはあまり良くないのではないかという気がしているんですよ。便利だから自分も利用しちゃうっていうのもあるんですけど。
—なるほど。
藤枝 言い換えると、色々なことが説明的すぎる。そういう意味では、逆に僕らは不親切な方だと思うんです。ライブも頻繁にやりませんし、検索エンジンを使うにはバンド名は間違えやすいし。しかも、バンドを11年やっていて、今まで一度もまともにメッセージがある歌詞を書いたことがない(笑)。これだけやっていると、少しは良いことも言いたくなったりするものじゃないですか?
大坪 でも歌詞の中には密かに入ってるんですよ。行間に。
藤枝 それも世の中的には不親切なこと。今はそんな余裕もない時代ですよね。
大坪 巷にいっぱいある親切で分かりやすい言葉は、別に他の人が発してくれればいいのかなと思っているんです。
—確かに最近、応援ソングのようなダイレクトなメッセージが多いですよね。
笹原 でも、実際にあれで救われる人は、結構多い。100万枚売れるってそういうことですよね。分かりやすいメッセージだから救われるっていう。
藤枝 それは放っておいても誰かがやると思うので、それよりは何か人生の脇道に逸らせるようなものをやりたいですよね。間口は割と親切に設計されているんだけど、実際はよくわからないようなものです。僕らの場合で言うと、聴き触りの良いボーカルだし、ちょっと良さそうなメロディだなと思って歌詞カード見てみたら、全く意味が分からないとか。
—では、今後このバンドでやってみたいことを教えて下さい。
藤枝 昨年10周年だったのですが、あまり長さを感じなかったので、ゆるく活動を続けて20周年もやりたいですね。
大坪 私は海外ツアーをやりたいと思っています。一度、台湾でライブをしたことがあるのですが、ヨーロッパやアメリカにも行けたらいいですね。
笹原 死ぬまでに一度、武道館でやってみたいです(笑)。
藤枝 でも武道館とか言いながら、活動10年目くらいでようやく「僕、最近家でギターを練習するようになったよ」って言ってるくらいですから(笑)。
笹原 最近、毎日ギターを触るようにしているんですが、そうしたら驚く事に上手くなるんですよね(笑)。それが本当に嬉しくて。
藤枝 でも熟れちゃうと駄目なことってありますからね。
笹原 まぁ、上手くなったら上手くなったで次の壁があるから。その壁を超えなきゃいけない。
藤枝 11年目にして(笑)。
スパングル・コール・リリ・ライン(Spangle call Lili line)
1998年結成。メンバーは大坪、藤枝、笹原の三人。今までに4枚のオリジナルアルバムとミニアルバム、ライブ盤をそれぞれ1枚ずつリリース。数々のコンピレーションアルバムにも参加。2008年9月に3年ぶりのオリジナルアルバム「ISOLATION」、11月「PURPLE」を連続リリース。2008年には、結成10周年イヤーを迎え、ライブやメンバーのソロ作品のリリース等、ますます充実した活動を予定している。
ウェブサイト:
http://www.lilliline.com/
最新作品「SCLL LIVE」(DVD+写真集)
発売日:
2009年8月5日
価格:
1500円
レーベル:
felicity













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