左から鎮座DOPENESS、今回PVのディレクションをしたファンタジスタ歌磨呂、W+K Tokyo Labのシェーン・レスター。
鎮座DOPENESSという名前のラッパーをご存知だろうか。KOCHITORA HAGURETIC EMCEE'Sというグループのメンバーとして活動し、今まで聴いたことのない独特なフローによるフリースタイルが数々のMCバトルやYouTubeで話題のラッパーだ。W+K Tokyo Lab/ EMI Music Japanより9月16日に発売のファースト・ソロ・アルバム「100% RAP」に収録されるリードトラック「mogu mogu」のPVは、イラストレーションを中心に手掛けるクリエイター、ファンタジスタ歌磨呂とのコラボレーションで早くも注目されている。PVの話題を中心に、鎮座DOPENESS、ファンタジスタ歌磨呂の両氏に制作に対する思いなどを伺った。
—まず、ファースト・ソロ・アルバムとなる「100%RAP」のアルバムタイトルに込められた意味から教えてください。
鎮座DOPENESS 僕がラップを好きになった頃は、ちょうどラップが流行っていて、「100% RAP」というコンピレーションが出ていたんです。それを最近見つけて聞き返したら、ラップじゃないものも入っているのに、「100% RAP」というタイトルで堂々と出ていることがすごく面白いなと思ったんですよ(笑)。僕はずっとラップをし続けているけど、聴く人によってはラップじゃないと思うかもしれない。でも僕的には100%ラップなので、そこも含めて幅広い人に聴いてもらいたいという思いを込めました。

鎮座DOPENESS「100% RAP」 2009年9月16日発売 13曲収録 \2,500(tax in)TOCT-26859 W+K Tokyo Lab / EMI Music Japan
—さらに具体的に何か目指したコンセプトはありますか?
鎮座DOPENESS 両親に聴かせることを考えて作りました。メジャーでやるということは、それだけで社会的責任もありますし、メディアにも出るので、親が見る機会が増えたときに危ないことをしてても仕方がないですからね(笑)。10年ぐらいずっとダラダラ音楽をやっているので、親戚にも「就職もしないで何やってるんだ」って思われている訳ですよ。一度ねじ工場に就職したけど4日で辞めたこともあったり(笑)、自分では音楽をやり続けていることを普通だと思っていても、普通の方には普通ではなくて。それで、自分も通ってきたもので、なおかつ親や親戚にも聴かせられるものを作ろうと思いました。
—その中でもリードトラックの「mogu mogu」は代表格なんですね。
鎮座DOPENESS 親も一番とっつきやすいというか(笑)。「mogu mogu」を作るにあたって、「ポンキッキ」やNHKの「みんなのうた」みたいな昔からの子供番組をYou Tubeで見まくって、こういう番組でも流れるような曲を作りたいって思ったんです。音を作ったEVISBEATSさんにも、歌磨呂君にもそうお願いしました。ドラッグディーラーをやってるような奴らも若い子達も、子供番組なら絶対見ていただろうから、自分だけでなく沢山の人達が通ってきたものを作りたかったんです。曲自体に関しては、結構落ち込んでいたり、むかついたりという部分も入っていますが、それをポップに消費したかった。多くの人に聴かれてなおかつ、自分の心情も入っていて、暗くなくて明るいというところに挑戦したかったんです。それが今回のPVで実現しましたね。
「mogu mogu」のPV
—そのPVでイラストレーションを担当したファンタジスタ歌磨呂さんとは、実は元々知り合いではなく、お二人をつなげたのはW+K Tokyo Labのシェーンさんだそうですね。
シェーン・レスター 二人とも活動している分野は違いますが、共通するものが沢山あるんです。例えば、気取らずに、ただ自分が気持ちいいと思うことをするからこそとてもPOPになるところとか、特定のジャンルにとらわれずに予測不能なものを作り出すところとか。鎮座から歌詞が自由に流れ出てくるように、歌磨呂もそれをドローイングで表現している。今回、鎮座のアルバム制作に取りかかった時、彼はマンガのキャラクターのような人だなと思って、そこに歌磨呂のクレイジーなスタイルが加わることで完璧な作品となり、見る人に作り手の楽しさを感じさせるように強く惹きつけて、お互いがより引き立つと思ったんですよね。
—ファンタジスタ歌磨呂さんは、今回、PVを担当されてどうでしたか?
ファンタジスタ歌磨呂 僕は鎮座君をYouTubeとかで見て、「こいつやべえ」と思っていました。めちゃくちゃクオリティが高いので、依頼が来た時はどう作ろうかと悩みましたが、打ち合わせで鎮座君に「みんなのうた」というイメージを聞いて「コレだ!!!」と思いましたね。僕自身も、普段微妙で何とも言えない存在感、みたいな空気を大事に制作しているので、すぐに納得できたんです。それで、「みんなのうた」のような愛着のある、可愛いけどちょっと切なくて叙情的、という絶妙な感じを出したくて、愛情込めて河童のキャラクターをつくりました。タイトルが「mogu mogu」なので、河童がとにかく食べ続け、最後は地球をまるごと飲み込んでしまい、惑星になってしまうというような、ストーリーを考えました。ラストは夢オチなんですが…。
"CISCO坂"でのサイファーの様子。約5年前の鎮座DOPENESS。
—制作中、お二人の間で話し合いが行われることもありましたか?
鎮座DOPENESS 途中で何度か見せてもらいましたけど、ほとんどお任せしました。他の曲も書かないといけなかったんで、安心しきってました(笑)。
—完成したものを見た時の感想は?
鎮座DOPENESS バッチリでした。キャラクターに魂があって良いですよね。全部ガチャガチャにしたいぐらい。曲をより良いと思わせるビデオなので、すごく助かりました。この間、電車で偶然10年ぶりぐらいに会った友達に「見たよ、mogu mogu。完璧だったよ。」って言われたんです。最近褒められた中で、一番嬉しかったですね。
ファンタジスタ歌磨呂 絵の枚数がとにかく 多かったので、連日徹夜作業が続いたのですが、ファンシーキャラだったからかあまり疲れず、むしろ精神的にテンションの高い状態で制作を続けられたので、 今までの映像作品の中で制作が一番楽しかったです。これは鎮座君に対して僕が勝手に感じていた事なのですが、彼の持つ世界観は本当に個性的で、まるで別次元のような自由な感覚がスカッとして気持ちいい。僕も制作において自由な感覚を大切にしているので、そういう部分をリンクさせるつもりで作りました。
鎮座DOPENESS 面倒臭いと感じたら完成しなかったと思うので、そう思ってくれるのは相当嬉しいですよね。
—素晴らしいコラボレーションですね。では最後に、何かを制作する上で、どのようなことを常に心がけていますか?
ファンタジスタ歌磨呂 常識や価値観が一瞬で覆されるような感覚、心が突き飛ばされるような感覚をどうにか作り出したいと思い、制作していますね。制作途中も含めて、関わる全ての人達が楽しめるような環境づくりも心がけています。今回も、彼の放つ強烈な個性を大事にしたくて、他には絶対ないようなキャラ作りに励みました。鎮座君もそこを感じてくれて嬉しいですね。
鎮座DOPENESS 無理しないで、合点がいく自分の感覚にフィットしたものを作ることですね。HIPHOPはどうしても胡散臭くなってしまう部分があるから、自分が求めているものとやっていることがマッチできればいいなと思う。リアル、リアルじゃない、ということもありますが、自分のやりたいことをやって、個人のスタイルを尊重できれば良いかな。それを聴いて「俺もラップできるかも」と思う人が出れば良いなと思っています。あとは、自分の好きだと思ったことが絶対で、そこを延ばしていくことが作品にするにも一番重要ですね。
(Text:Ayana Watanabe)
鎮座DOPENESS/Chinza Dopeness
宇宙人ラッパーとも称される独創的な言語感覚と、圧倒的なスキルによるフリースタイル・パフォーマンスで、様々なシーンからの注目を集める異才MC。2004年よりKOCHITORA HAGURETIC EMCEE'Sというグループで活動し、2009年9月16日には、待望の鎮座DOPENESSファースト・ソロアルバム「100% RAP」をリリース。高田漣、SKY FISH、EVISBEATS、HIFANAなど、現在の音楽シーンを代表するプロデューサーによるトラックで、鎮座DOPENESSオリジナルのフロウと韻が炸裂したアルバムとなっている。
http://www.chinzadopeness.com/
http://www.myspace.com/chinzadopeness
ファンタジスタ歌磨呂/Fantasista Utamaro
マンガ表現をベースに、イラストレーション、アニメーション、テキスタイル、など幅広い分野で制作を行い、その作品はどれもカラフルでポップで見る者を惹きつける。学生時代の友人達とマンガの新たな可能性を探るべく始めた 「mashcomix」では漫画誌の発行のほか、一つの建物をマンガにしてしまうプロジェクト、「mashcomix house」や、レストラン壁面全体をマンガ化したNY「TOKYO BAR」など、 独創的な活動は国内外で注目されている。
http://www.fantasistautamaro.com
http://www.mashcomix.com/
アルバムリリースパーティ「100 % LIVE」
日時:
2009年9月15日(火)20:00〜
会場:
月見ル君想フ
住所:
東京都港区南青山4-9-1 シンプル青山ビルB1F
チケット:
前売り2500円、当日3000円
予約・問い合わせ :
03-5474-8115
ウェブサイト:
www.moonromantic.com













[前の記事]離島での滞在制作、KOSHIKI ART PROJECTの目指すもの
[次の記事]ビジュアルを操る注目のクリエイター、ティモシー・サセンティ





























