himuro yoshiteruニューアルバム「where does sound come from?」レーベル:Murder Channel / 価格:1800円 / 3月上旬発売予定
エレクトロニカやヒップホップをはじめとした複数の音楽ジャンルを行き来するビート・クリエイター、himuro yoshiteru。常に安定した楽曲を供給し続ける彼は、ミュージシャンからのトラックメイキングやイベント出演の依頼も多い。moonlinxのmembershipCenterでの活動も活発に行う彼は、3月上旬に待望のニューアルバム「where does sound come from?」をリリースする。常に現場の最前線で活躍する彼に音楽ことや作品のことを伺った。
—3月にニューアルバムがリリースされると伺いました。今回の作品について教えてください。
himuro タイトルは「where does sound come from?」です。 テーマは、これまでと同様、特にありません。確かに出来上がったものに対して視覚的なイメージや、おぼろげな感情を持ってはいますが、聞いた人々が好きなように解釈して欲しいのでテーマを決める事は敢えてやっていませんし、アルバムや曲の名前もその時たまたま考えていたことや単なる語感でつけています。今回のリリース元であるレーベル「Murder Channel」では、同名のクラブイベントで主にブレイクコア、ジャングルやダブステップ等、ハードでヘビーな音楽を中心にしていることから、アルバムの内容はビートが重めで電子音が多い内容になっています。
—himuroさんの作品はコンピュータを使った打ち込みというイメージが強いですが、作品はどのように制作されていますか?
himuro マウスをクリックしたり、キーボードを叩いたりして制作しています。具体的には、まずドラムから作ることが多いですね。最初にキックの音、次にそれに合うスネアの音を作り、それらからドラムのパターンを組み上げ、さらにそれに合うベースライン、ウワモノ…というように進めていくので、自分では「芋づる式作曲法」と呼んでいます。何か一つの要素から次の音をずるずると引き出していく感じです。
himuro yoshiteru「Spen za nite wiz dis sit」 。映像:Takafumi Tsuchiya Vimeoより。
—himuroさんはmoonlinxのmembershipCenterでも色々な作品を公開されています。このようにインターネットでの音楽活動をどうお考えですか?
himuro インターネットでは、作った曲をその5分後にアップし、twitterにリンクを貼って不特定多数の人達に聴いてもらうということが可能なので、このスピード感が気に入っています。ただ、スピーディになり過ぎて良い悪いの判断もそのスピードで行われがちなので、その辺りは少し怖い部分がありますね。
—最近、機材の値段が下がり、ネットサービスのように誰でも自分の音楽を発表できるようになりました。若手のクリエイターにとってもすごくいい環境が整ってきたと思いますが、himuroさんはどう思われますか?
himuro 中学生のときからコンピュータで音楽を作り、自分のネットレーベルから曲を発表している高校生と話したことがありますが、世代による違いは特にないと感じました。いわゆるプロフェッショナルの人達と同じ制作環境を手に入れたとしても、それで面白い作品ができるわけではなく、結局は作り手次第なので、年齢、性別、人種などによる違いはあまり関係ないと思うんです。若い人のほうが「年齢による違いなんてないんだ」ということに意識的、もしくは無意識的に気づいていますよね。

写真:Takata Japan
—では、クラブに行く若者が少なくなっていると言われていますが、その点に関してはどうお考えですか?
himuro イベントによって客層の違いはありますが、クラブに行く若者が減ったとは感じていません。東京に関して言えば、IDチェックがあるせいで、特にオールナイトのイベントには行きにくくなっているということはあると思います。でも、かたや若い人が来やすいように夕方から開催されるイベントもあり、そこには実際に彼らがたくさん集まっているので、そのような話は「昔は良かった…。」と言っているおっさんの勝手なイメージじゃないでしょうか。
—影響を受けたミュージシャンやアーティストを教えてください。
himuro 漫画家の藤子不二夫と楳図かずおです。ミュージシャンだと、影響というか、好きなのはルーク・ヴァイバート、スクエアプッシャー、スティーブ・ライヒ、オリーブ・オイル(Olive Oil)ですかね。漫画家の二人の作品には現実にはないストーリー設定があるものの、現実と地続きになっている部分があるところに影響を受けています。物語の世界が非現実にはみ出しても、最終的には現実に戻ってくる部分というか。実際やるのは難しいことなんですが、彼らのように非現実に行き過ぎずなるべく現実に戻ってこられる部分を自分の音楽でも出したいと思っているんです。それと、関係無いんですが、小学生の頃、僕はのび太そっくりでした(笑)。

2007年発売のアルバム「welcome myself」(左)と2008年発売の「here and there」(右)。デザインはいずれも阿南圭吾。
—himuroさんの音楽はベースが西洋的な音楽手法であるものの、サウンドはとても日本的な印象があります。逆にその良さを活かして海外を拠点にすることも面白いとは思うのですが、それに興味はありますか?
himuro 過去出演したヨーロッパのいくつかの国のイベントの時なんですが、反応がダイレクトなんです。多数の人が「お前が誰だか知らないけど、良かったよ。」と話しかけてきて、やりやすいなと。だから、「やってて良かった、続けよう」と思ったりもします。そんな経験から、ブッキングのマネージメントも含めて音楽を輸出するシステムが、もっと日本で確立してほしいと思います。現状、その部分をミュージシャン自身でやっている場合が多く、それはそれで楽しいものの、そこを任せられるシステムが日本にあれば、わざわざ移住しなくても良いとも思うんです。
—音楽はすごく不況だと言われますが、この流れの速い世の中で、himuroさんなりの生き残る術や考え方などありましたら教えてください。

2009年1月リリースのEP「adcd EP」
himuro それぞれ状況が違うので、「音楽業界が不況だ」と大ざっぱに言って、そのイメージだけがまん延するのはすごく危険な気がしています。僕は、音楽で一億円を儲けるつもりが一千万円しか儲けられなかった人達が言っている、いわゆる「不況」は、自分は無視するようにしているんです。自分達のコントロールできる範囲で、生活可能なお金を稼いでいる人達もたくさんいるので、生き残る(という意味も千差万別ですが)ためには自分の位置を見極めて、各人で各人の基準を設けて活動することが必要だと思います。後は単純に、シンプルに良いものを作るしかないんじゃないでしょうか。
—ありがとうございます。今後の予定を教えてください。
himuro 2曲のトラックを提供したラッパーの環ROY君のアルバム「BREAK BOY」が3月17日に出ます。あとSTEREO DEPTというヒップホップグループのラッパー、カイ君と一緒に作品を作っています。他にもラッパーからのトラック制作依頼がいくつかありまして、これからその作業を進めていきます。それと、近いうちに散髪に行きたいと思っています。
Himuro Yoshiteru
大分県出身。福岡で長く活動し、現在は東京在住。強く影響を受けた電子音楽、エレクトロ、HIPHOP、ジャングル等の要素を混ぜ合わせながら作品を作ることを信条とする、ど近眼のビートジャンキー。1998年頃から、UK、オーストラリア、US、フランス等、海外のレーベルからリリースを重ねる。2007年、デザイナー、アナンケイゴと共に立ち上げた自身のレーベルTaNGRaM DiSKより「welcome myself」をリリース。2008年にはFile Recordsから「here and there」をリリース。ISSEY MIYAKEやBEAMS ARTSのwebサイトの音楽を手掛けるなど、様々な分野で活動中。
memebershipCenter http://center.moonlinx.jp/himuro-yoshiteru/
My Space http://www.myspace.com/himuroyoshiteru
TaNGRaM DiSK http://tangramdisk.com













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