moonlinx

next creation and communication moonlinx magazine

HOME

  • HEADLINE
  • SELECTED EVENTS
  • SPECIAL ISSUE
  • INTERVIEW
  • VISUAL FEATURE
  • REVIEW & RECORD

HEADLINE

  • ←
  • ↑
  • →

ビジュアルを操る注目のクリエイター、ティモシー・サセンティ

Visual
09/17, 2009

KEYWORD :
Battles
Diesel
Partizan
Timothy Saccenti
ティモシー・サセンティ
ディーゼル
バトルズ
パルチザン

Tricky © Timothy Saccenti

現在、都内のDIESEL DENIM GALLERY AOYAMAで、世界初の個展となる「"Garden of unearthly delights" この世ならぬ歓びの楽園」を開催中のティモシー・サセンティ(Timothy Saccenti)は、先日発表された新型PlayStation3の話題のCM作品「THE PLAYFACE」を手掛けた映像監督でありながら、多くのアーティストから圧倒的な支持を集める注目のフォトグラファーでもある。「ビジュアルの魔術師」とも言える彼は、一体どのようにして写真や映像に最高の一瞬を収めているのだろう。その秘訣や代表作であるバトルスのミュージックビデオなどについて、サセンティ氏ご本人にお話を伺った。


—まず、フォトグラファーとしてのサセンティさんの作品には、「グロス感が効いていて、幻想的で、且つスタイリッシュ」という印象を受けます。ご自分ではそのスタイルをどのように言葉で表現されますか?

サセンティ 自分の作品のスタイルを表現するのは違和感がありますが、しいて言えば、作品にとりかかる時は、人工物でありながら、独自のルールや理論に沿っている見知らぬ場所からやってきた清いものを創るように心がけています。

The School Of Seven Bells © Timothy Saccenti

—アーティストを被写体にして、彼らが圧倒的な存在感を見せる非常にパワフルな作品を数多く撮っていらっしゃいますが、短い撮影時間で彼らの個性を引き出すのは非常に難しいのではないかと思います。最高の1枚を撮る秘訣をぜひ教えて下さい。

サセンティ アーティストを撮る場合は、撮影前に彼らの世界にどっぷりと浸るようにしています。そうすることにで、彼ら自身と彼らの世界観に対する理解や思いやりが持てますから。その次に、私の世界観を彼らの世界観と重ね合わせて、自分の視覚言語を使ってそれをどう表現するべきか考えます。撮る側は最高の敬意を払って被写体に接するべきでしょう。それは被写体だけに関わらず、あらゆる人に対しても同じことです。敬意を持って接することで、彼らが自由になれる環境をつくり出すことができる。それで初めて、素の彼らが出てくるんです。誰かに写真を撮られるということは、非常に不快な経験にもなり得ますから、被写体の嫌な部分も出てしまうことがありますが、フォトグラファーとしてはそれを慎重に扱わなければなりません。また、撮影を終えるタイミングも鍵となります。自分が必要としていたレベルの写真が撮れたなと感じたら、丁重に彼らをその拷問から解き放ってあげる必要があるのです。

Erykah Badu © Timothy Saccenti

Prefuse73 © Timothy Saccenti

—では、映像作品に関してはいかがでしょう?某インタビューでは、「映像制作を行う度に今だ多くを学んでいる」とおっしゃっていましたが、写真と映像において、決定的に違う点は何でしょうか?

サセンティ 決定的に違うのは、かかる時間と時間自体の存在でしょうね。スチール撮影の場合は、例えどんなにサイズが大きくても、最初の案出しから最後の納品までかかる時間は3週間ほどです。しかし、映像の場合はプリプロダクション、編集、ポストプロダクションまでで最低でも6週間はかかります。

芸術的な点について言えば、時間自体が異なります。スチールでは、時間の抑制やそれに対する価値がありません。つまり、作品がただ存在しているだけで、見る側次第なのです。しかし、映像においては、時間は感情を操作するためのパワフルなツールでもあります。これに関しては、映像編集のエキスパートのデイン・ウィリアムズ(Dayn Williams)と一緒に仕事が出来ることを本当に幸運だと思っていますよ。彼は人並みはずれた編集の操作で、超スローモーションのショットを使ってストーリーを語らせたり、それがほんの数分の出来事でもまるでその映像を何時間も見ているような気にさせることができるのです。

Dominos「The Big Pink」のミュージックビデオ(監督:Timothy Saccenti)

—映像作品においてのあなたの代表作と言えば、11月の来日も決定したバトルスのミュージックビデオかと思いますが、鏡で出来たキューブのあのアイディアはどのように生まれたものなのでしょうか?

サセンティ 鏡を使った作品を制作したことは何度かあったのですが、以前、鏡で出来た箱を見たことがあり、マジックミラーが貼られた箱を作ったらどうなるのだろうという好奇心がありました。マジックミラーの箱なら、回転させて中を撮影することが出来ますから。それで、まず小さいバージョンを制作して撮影してみたところで、思いがけなく、バトルスより最新アルバムを「ミラード(Mirrored)」という名前にして、鏡を使ってPVを撮影したいと連絡があったんですよ。それで既に作ってあったテスト映像を送って、後はご存知の通りです。

Battlesのアルバム「ミラード(Mirrored)」のカバー © Timothy Saccenti

同じく、Battlesのアルバム「ミラード(Mirrored)」より、「Atlas」のミュージックビデオ(監督:Timothy Saccenti)

—撮影中に何か面白いエピソードはありましたか?

サセンティ 撮影前に、バトルスのメンバーがどうしても自分たちでセットを作りたいと言うので、彼らにセットを作ってもらったんです。制作中、彼らが釘の色について何時間も言い争っているのを、私は後ろに座ってじっと見ていたんですが、撮影時間がどんどんなくなってしまって…。結局、あらゆる決断に対していちいち相談し合うという奇妙なプロセスのせいで、丸一日遅れのスケジュールで撮影をするはめになりました。時間にも予算にも制限のあるミュージックビデオの制作という状況下では、このようなことが頻繁に起こるんですよ。

—では、監督としての最新作であるPlayStation3の映像作品「THE PLAYFACE」について教えて下さい。発売前の新型PlayStation3がどのようなものになるのか非常にワクワクさせられる作品でしたが、クライアントからの要望はどのようなもので、あなたはどのような役割を担っていたのでしょう?

サセンティ 頂いた企画には、ゲームをプレイしている人達の顔を見せたいという要望がすでにありました。それに対して、監督としてどのように撮影するのか、カメラ、照明、見え方、色身、雰囲気、音楽、そしてモデルになる人達から説得力のあるリアクションを得る方法など、シリーズとして機能するような自分なりのアイディアをプレゼンしました。

9月3日に発売された新型PlayStation3のCM「THE PLAYFACE」(監督:Timothy Saccenti)

—その後、実際にはどのようにアプローチされましたか?

サセンティ コンセプトにひねりと説得力のある見え方を加えて、出来る限り感情豊かな印象になるようにしました。先程お話した映像編集のデイン・ウィリアムズは本当に驚きで、ひとつの作品として、またひとつのシリーズとして、これがどのように機能すべきかという考えを非常にクリアに保ちつつ、私が撮影した映像を完璧に仕上げてくれました。彼は、全体の見え方を失わずに、1フレームずつ細部に渡って作業するという驚きの技術を持っているんです。デインともう一人、今回の個展で上映している「Garden of unearthly delights」を編集してくれたエマニュエル・クリヴェラリ(Emanuele Crivellari)と二人三脚で仕事出来ることを本当に幸運だと思っています。

—完成した作品に対しての感想をお聞かせ下さい。

サセンティ 感情的でもあるし、ビジュアル的に素晴らしい作品になったと思っています。自分でもこの作品を誇りに感じていますよ。

—では、今お話にも出ましたが、現在、DIESEL DENIM GALLERY AOYAMAで開催中のあなたの初の個展に、これから足を運ばれる方も多いかと思います。皆さんに何かメッセージを頂けますか?

サセンティ オープン・マインドでい続けること。そして自分自身を見つめることを恐れないでください。

"Garden of unearthly delights” / DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA / 2009
© Timothy Saccenti

—最後に、あなたがインスパイアされるものを教えてください。

サセンティ アート、サイエンス、自然、そしてそれらの組み合わせ。しかし、何よりもインスパイアされるのは、友人や家族。この地球上でもっとも素晴らしい人達に囲まれていることを本当に幸せに思いますし、私は彼らから日々学んでいるのです。

ティモシー・サセンティ/Timothy Saccenti

国際的に活躍するニューヨーク在住のディレクター/フォトグラファー。独特の色彩の強さやライティングなど、優れたアートディレクションで、独自の世界を創り出し、最近ではそのスタイルは「恐怖感のあるバロックのフューチャリズム」と言われている。また、世界的に有名な映像プロダクション「パルチザン」に所属し、バトルス、ジェイミー・リデル、ピーチズ、エリカ・バドゥ等のPVやアーティスト写真を手掛けている。現在、都内のDIESEL DENIM GALLERY AOYAMAでは、世界初となる個展を開催中。これまでサセンティ本人が構想してきたストーリーをベースに、DIESEL DENIM GALLERY AOYAMAのために制作された新作を含む未発表作品を展示している。

http://www.timothysaccenti.com


ティモシー・サセンティ個展
「"Garden of unearthly delights" この世ならぬ歓びの楽園」

会期:
2009年8月14日(金)〜11月8日(日)13:00〜20:00

会場:
DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA

入場料:
無料

ウェブサイト:
http://www.diesel.co.jp/denimgallery


SPECIAL ISSUE

季刊を基本とした moonlinx の特集

もっと見る

+ART

文化の背景と未来を読み取るロングインタビュー

もっと見る

NotSame.

クリエイターによる紹介制リレーインタビュー

もっと見る

VISUAL FEATURE

文化や社会をきりとるビジュアル記事

もっと見る

REVIEW & RECORD

クリエイター達による商品レコメンド

もっと見る

EDITOR'S NOTE

編集スタッフがつづる、編集/制作裏話、日常

もっと見る