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Kinya Tagawa Selection Review デザインエンジニアリングファーム takramが選ぶ4つのアイテム

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THEME田川欣哉#1:The Earth & Tools

地球と道具

[ UPDATE: Nov 27, 2009 ]

様々なクリエイターの皆さんにご登場頂き、お気に入りのアイテムを紹介してもらうこのコーナー。今月から3ヶ月に渡って連載を担当してくれるのは、デザインエンジニアリングファーム、Takram(タクラム)代表の田川欣哉さん。第一回目となる今回のテーマは「地球と道具」。

自転する地球儀

自転する地球儀

仕事柄、不思議な物理現象や化学現象にとても興味がある。この自転する地球儀を見つけたとき、どうやってこれが動いているんだろうとさんざん想像を巡らした。この地球儀はゆっくりとなめらかに自転するのだが、どこにも電源や回転機構のようなものは見当たらない。外界から独立して静かに回転する姿は優雅で不思議だ。この動きの謎を

解くためには、作用・反作用のような、どこかで聞いたような物理の言葉を思い出す必要がありそうだ。回る地球を目の前に、物理の教科書を広げて、ああでもないこうでもないと悩んでみると新しい発見があるかもしれない。発想の素晴らしさと同時に、秀逸な製造方法や仕上げなども気になる一品。

メジャー

メジャー

僕らの身の周りで使われている単位には、それぞれ面白い歴史が隠されている。長さを表す単位・メートルは、地球のサイズから逆算して定義された。北極から赤道までの距離を計り、それを1,000万分の1にした長さが1メートルだ。発想したのはフランス人。アメリカ人が人の歩幅からフィートという単位を決めているのとは対照的だ。この「1メートル」を実際に定義するのはとても大変である。なぜなら、1メートルを定義することは、地球のサイズを計ることと同義であるからだ。山も谷も海もある地球の上

を人間サイズで移動しながら、正確に計測していくのはとても骨の折れる作業だからだ。この計測は1700年代の最後に行われたが、その途中で命を落とした者もいるとか。僕らの周りを囲む様々な文明は、良くも悪くも、こんな先人達の努力や失敗の積み重ねの結果なのだ。メジャーはこんな先人達の苦労や歴史、そして地球のサイズを、ふと思い出させてくれる器具。そんなことから、僕はメジャーを趣味で集めている。

書籍「フォークの歯はなぜ4本になったのか」

書籍「フォークの歯はなぜ4本になったのか」

著者:ヘンリー・ペトロスキー
出版社:平凡社

「フォークの歯はなぜ4本になったのか」とは絶妙なタイトルだ。こんなことを考え始めたら、世の中のあらゆるモノに対して「?」が浮かんでくる。でも、この「?」はデザインや設計をする人にとってはすごく重要な感覚だ。この本の中で著者が道具の歴史をひも解きながら提案しているのが「Form follows function(機能は形態に従う)」ならぬ「Form follows failure(機能は失敗に従う)」というコンセプト。世の中で広く使われている日用品は、その普及の過程で膨大な失敗作が作られ、市場からのフィードバックによって改良が重ねられる。改良の積み重ね

があるレベルに達した瞬間、そのモノは進化を止め、世の中に一気に浸透を始める。そのような考え方である。そこから逆説的に引き出される視点は、市場の中で「充分に便利」なものを「より便利」なものに置き換えることはとても難しいということだ。それにもかかわらず、デザイナーや設計者は「より良いもの」を目指し、「充分」を通り越した過剰なものづくりをしてしまうことがある。僕は自分のバランス感覚を点検するために、この本のページをときどきめくるのだ。

半田ごて

半田ごて

製造元:HOZAN

半田ごてというものを知っている人はどれくらいいるだろうか。使ったことのある人になると、かなり少ないのではないか。それでも、僕らの仕事には欠かせないツールの一つなのだ。この半田ごてを使って、携帯電話やデジタルカメラの試作機を作ったり、インスタレーションに使う部品などを組立てたりする。HOZANは業務用の電子工作ツールの老舗的存在の会社である。「ペンチ」や「ニッパー」といった馴染みのある工具から、「除電ブラシ」や「イオナイザー」といった怪しげな名前の専門器具まで幅広い製

品を扱っている。HOZANの温度調節機能半田ごては、長い間、僕にとって一つのあこがれだった。学生時代は貧乏だから、1000円くらいのおもちゃのような半田ごてしか買えない。仕事を始めてから、この少し高価な半田ごてを買うことができた。そのとき「仕事してると、いい道具が使えるんだ」と素直に感動したのを今でも憶えている。takramにはこの少し高価な半田ごてが3台あり、takramのインターンの学生達は最初から、こんないい半田ごてを使うことができるようになっている。

PROFILE

田川欣哉
Kinya Tagawa

田川欣哉 (takram代表)
1999年東京大学工学部卒業。2001年英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修了。帰国後、リーディン グ・エッジ・デザインに参加。06年にtakramを設立。デザインとエンジニアリングの二つの視点を活かした多角的なアプローチで、インタラクティブなアート作品からソフトウェア、ハードウェアまで幅広い製品を手掛ける。主な作品に、親指入力機器「tagype」、レーザードローイングツール「Afterglow」、NTT ドコモ「iコンシェル」「iウィジェット」のユーザインタフェースデザインなどがある。「tagtype」はニューヨーク近代美術館の永久収蔵品に選定された。2007年Microsoft Innovation Award最優秀賞、独red dot award: product design 2009などを受賞。

http://www.takram.com/


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